宮藤官九郎×磯山晶CP、役者・長瀬智也の魅力を語る!長瀬「俺はスーパーマンじゃないよ」<俺の家の話>
長瀬智也演じる寿一の初期設定は“純白の貴公子”
――今回、長瀬智也さん×宮藤官九郎さん×磯山晶チーフプロデューサーのお三方による11年ぶりのタッグということもあり、SNSなどでとても盛り上がっておりますが、本作が誕生した経緯やその際のお気持ちを教えていただけますでしょうか。
宮藤官九郎(以下、宮藤):長瀬くんが父親役をやったことがないと言っていたのがきっかけです。2人で話していた内容を磯山さんにメールした時には、プロレスラーが伝統芸能の家業を継ぐ、みたいな設定は出来ていましたよね?
磯山晶チーフプロデューサー(以下、磯山):そうですね。親子ものだったら長瀬くんにも子供がいてお父さん役は西田(敏行)さんがいいねって3人の間で決まったんですよね。
あと昔、長瀬くんと宮藤さんが「ナチョ・リブレ」(2006年)というプロレスが題材の映画で大盛り上がりしていたこともあって、そこから作品の題材であるプロレスや、伝統芸能、人間国宝というのを決めていきましたね。
プロレスって試合でマスクをつけるじゃないですか。それで、伝統芸能なら面をつける“お能”がいいねって。ちょっとずつ進んでいったので構想5年くらいでしょうか。なので、ようやく整ったという気持ちですね。
宮藤:本当にちょっとずつ話を進めていったから、あんまり満を持してないですね。11年ぶりっていう感じもしないし、感慨もそんなにないです(笑)。
――構想を進めていく上で、長瀬さんとはどのようなお話をされたのでしょうか?
宮藤:長瀬くんはプロレスへのこだわりがとてもあって、コスチュームについては結構話しましたね。
磯山:そうですね。最初、長瀬くんの役の設定は、“純白の貴公子”という「ブルーザー・ブロディに憧れを持っていて、自身もヒールレスラーになろうとしたのに、アイドルレスラーとして売り出されてしまった」という設定にしようと思っていたので、コスチュームも“貴公子風”を想定していたんです。
でも、長瀬くんから「ブロディに憧れている人はヒールとしての憧れが強いから、貴公子風にはならない」と主張があり、コスチュームもワイルドな方向に変更しました。体作りもそうなんですが、コスチュームも長瀬くんが先に準備してくれていて、誰よりも先にスタンバイしてくれていますね。
宮藤:髪型やコスチュームにとてもこだわって、形から入っているように見えるんですけど、それが本質をついているんですよね。それはほかの作品の時もそうでした。
磯山:一年以上前から髪を伸ばし始めていたり、コロナより前から体作りを始めていたり、私たちより前にご本人の中で作品がスタートしているんですよね。私のイメージの中で長瀬くんはいつもスリムだったんですが、どんどん体が大きくなって、仕上げてくれたなと思いました。
宮藤:普通に体を絞ったり太ったりっていうのと、プロレスラーの体はちょっと違いますもんね。本人のこだわりもありますし。そこまでやらなくてもいいのに…(笑)。でもそのおかげで、プロレスのシーンは本当の試合のようになりましたね。