――どちらの作品も先が気になるストーリーですが、脚本を読んだ感想は?
細田善彦:この話はどうなっていくんだろうというワクワク感がありました。あのどんでん返しを見た人がどう思ってくれるのか? 途中で気付くかどうかは分かりませんけど、自分なりに考えながら演じていました。
泉澤祐希:あのラスト、めっちゃすっきりしました。
細田:ホントに? やっぱり、怪しく映ったのかなぁ(笑)。
――細田さんが演じた芸人の冒頭のセリフが何とも意味深ですよね。
細田:あれには、いろいろな意味が込められていますよね。2回、3回と見るたびに印象が変わるんじゃないかなと思います。
――「切れない電話」は喫茶店が舞台。物語の後半に展開されるお店の客(泉澤)とマスター(岩松了)のやりとりは面白過ぎます。
泉澤:岩松さんとのシーンはどういう見せ方になっていくのか。本読みの段階から興味がありました。ワンシチュエーションで、人間の変化をずっと追い掛けていくのでどんなふうに表現したらいいのか不安もありましたけど、いざ撮影に入ったら、あれよあれよと進んでいって。すごく楽しかったです。
――それにしても、後半の2人のシーンは何と表現すればいいのか…。
泉澤:何かリアルでしたよね。変に見えないというか。
細田:変に見えないってどういうこと?(笑)
泉澤:いや、変なんですけど(笑)、こうなっちゃうのかぁってどこか納得がいくというか、これは不自然なことではないのかなって思えるところまで持っていけたような気がします。
――「ユニットバスの2人」は風呂場で泥棒と遭遇するという設定。細田さんが演じる時に心掛けたことは?
細田:僕が演じた芸人が一番隠したいと思っていることは何なのか。彼という人間はどういう設定なのか。泥棒役であり脚本も書かれた(岩崎)う大さんや監督と何度も話し合いました。衣装も半袖の白いTシャツからロングTシャツに変えたりして。現場でどんどん変わっていくので、その都度対応していったという感じです。
――岩崎さんが演じた泥棒はかなりクセが強いキャラクターですね。
細田:う大さんがとにかく面白いんですよ。物語の終盤、なぜか泥棒から怒られるんですけど、あの説教のシーンは脚本になかったんです。う大さんが現場で思いついたもの。完成した作品を見た時にこれはコメディーなのか、それともサスペンスなのか。これから見る人がどんなふうに感じるのか気になりました。
泉澤:う大さん扮する泥棒がどんどん変わっていく感じがすごかったです。あの芸人は何で無理やりにでも帰さないんだろう。最後まで見てようやく理由が分かりましたけど、ずっと不思議に思っていました。
細田:でも、自分の家の風呂場に誰かがいたらびっくりするよね。
泉澤:確かに。でも、あの芸人さんは冷静なんです。そこに違和感があった。
細田:僕だったらすぐ警察呼んじゃう(笑)。
泉澤:有名人という設定だから、変に騒ぎになるのが嫌だったのかなと思いながら見ていましたけど、まさかあんな結末が待っていたとは。すごくいい脚本ですよね。めちゃめちゃリアルでした。(細田が)本当にそういう人なのかもって思ってしまいました。劇中で起こったことはやっていそうだなって。
細田:ちょっと待って、ちょっと待って。やっていそうっていうのは、どれ?
泉澤:全部(笑)。
細田:それ、ほめてるの?
泉澤:もちろん、ほめてますよ。それぐらい自然だったということです。
細田:何か複雑な気持ちだけど、ありがとう(笑)。
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