――泉澤さんは、ご自身が出演された作品をどう捉えていましたか?
泉澤:僕は完全にコメディーだと思っていました。
細田:タイトルにもあるけど、電話の芝居って難しいよね。
泉澤:めちゃくちゃ難しかったです。
細田:しかも、電話のやりとりのシーンが長かったもんね。
泉澤:自分で見ても、もうちょっとうまくできたんじゃないかなって反省する点がいっぱいありました。でも、どうすればよかったのか分からなくて。僕も細田さんと一緒で、見てくださる方があの状況をどういうふうに感じ取ってくれるのか気になります。
細田:あれは、何で電話を切れなかったの?
泉澤:それが分からないんですよ。撮影しながら言ってましたもん「これ、何で切らないんですか」って(笑)。本当は切りたいんですよ。だけど、電話の相手の女性が「切ったら死ぬ」って言ってるし。やっぱり、人の命がかかっていると思ったら、ああなってしまうのかなって。人間の弱さが見えてきますよね。
――だからこそ、びっくりするような展開になっていくわけですね?
泉澤:まさか、岩松さんが演じる喫茶店のマスターとあんなことになるとは。
細田:とんでもない絵面になっていたもんね。どういう内容なのか知らずに見ていたからびっくりした。
泉澤:突拍子もない展開ですからね。
細田:一視聴者としては、早く電話を切ればいいのにって思っちゃうけど。
泉澤:それはそうなんですけど…。気の弱さが出たというか、僕が演じた男はあの電話の女性に何をしたんでしょうね(笑)。
――岩松さんとの芝居は全部台本通り?
泉澤:岩松さんのリアクションは、現場でどんどん変わっていきました。岩松さんが「ここは、こうしてみようかな」って言いながらいろいろ動くんですけど、それがめちゃくちゃ面白くて。演じながら何度も笑っちゃいそうになりました。一つ一つの動きに妙な説得力があるんです。あらためてすごいなと思いました。
――今回演じたキャラクターのようにパニックに陥った時はどう対処しますか?
細田:パニックの度合いによるかもしれないですけど、ただひたすら嵐が過ぎるのを待つタイプかもしれません。びっくりし過ぎたら声を出せないかも。
泉澤:僕は普段からいろいろシミュレーションをしているんです。
細田:どんなことを?
泉澤:本当にそういうことが起きるかどうかは分かりませんけど、例えば強盗が入ってきたらこういうふうに対処しようとか、常に考えています。
細田:防災訓練的な感じ?
泉澤:授業中でも、屋上からテロリストが下りてきたらまずはあそこに逃げて、武器を奪うことができたらこうしてみようとか。くだらないことなんですけど、そういう想像をすることが好きなんです。
細田:そんなこと考えたことないなぁ(笑)。
――自分の中で印象に残っている“限界エピソード”はありますか?
細田:3年ぐらい前に役作りで体を大きくした時にご飯をいっぱい食べたんです。1時間に1回ぐらいのペースで。一気に体重を増やしたんですけど、ずっと謎の頭痛に悩まされていました。
寝る直前まで何かしら食べているような生活を続けていたら3週間目ぐらいから頭痛がひどくて。今振り返ってみると、あれは肉体的にも精神的にも限界だったのかもしれないなって思います。
泉澤:僕は現在進行形で花粉症がもう限界です(笑)。
細田:つらいよね。
泉澤:子どもの頃からずっと。年々ひどくなっています。
――どんな花粉症対策を?
家に帰ったらすぐシャワーを浴びて、あとは自分に合っている薬を飲むだけ。この時期は本当にきついです。
◆取材・文=月山武桜