「オモウマい店」は、スタッフの取材VTRをメインに、ワイプ内でMCのヒロミと小峠英二(バイきんぐ)、ゲスト数名がコメントを挟む構成になっている。VTRからスタジオに移ることはなく、グルメ番組によくある「○○さんの唐揚げを用意しました!」みたいなのもない。
グルメレポーターもいないし、スタジオの試食もない。つまり「オモウマい店」は、グルメ番組なのに食レポがない。
その代わり、スタッフはお客さんが料理を食べる様子を延々と撮っている。熱々のラーメンを食べたいのになかなか口がつけられないおじさん、高さ40cmのかき氷を頂上から直接かぶりつくおばあちゃん、3.5合のチャーハンが途中で食べられなくなって遠くを見つめるお兄さんも。
14段ロングソフトクリームの回では、男子高校生がソフトクリームを完食するまでを3分以上も流し続けていた。青空の下、ちょっとぽっちゃりした男子が、お母さんが待つ車の横でロングソフトクリームをほおばり続ける(こぼすと大変だから車に入れてもらえない)。男子高校生が食べ続ける3分間はどんな食レポよりも雄弁だ。
ツッコミを入れ続けるヒロミ&小峠
もちろん、そんなダダ漏れの3分に黙っているヒロミ&小峠ではない。ワイプの中から「素人の人が食べるのこんな尺で見たことない」「画が持つよなぁ」「がんばれよ!」とツッコミが入り続ける。
取材VTRのテロップは現場のやりとりを中心に構成され、文字でツッコミは入らない。ツッコミを入れる「余白」がたっぷりとあり、ヒロミや小峠はまるで家でテレビを見ているように自由にVTRにツッコんでいく。それをリビングで見ているこっちも、思わず店主たちにツッコんでしまう。
もはやこれは、オモウマい店のパブリックビューイングだ。テレビを見ながら、「多い多い!」「安すぎ!」「はみ出てるはみ出てる!」「やりすぎだから!」「休んで!」と一緒にツッコむのが、この番組を最大限に楽しむコツだと思う。