――北村さん演じる主人公・陣内宗介の魅力を教えてください。
北村:ばか正直なところじゃないですかね。子どもがそのまま大人になっちゃった感じ。ヤクザの世界には入ってしまいましたけど、それを置いて考えた場合、とても感受性が豊かな人物だと思います。真面目なことを言うと、特に日本という国は“傍観者”が増えていますよね。そんな時代の中でも、陣内は傍観者には絶対になれないというか、仲裁に入ったり、体が先に動いてしまうタイプの人間です。
ヒーローものの主人公もそういう人が多いですけれど、陣内もまさしくそういうタイプで、元ヤクザのくせして、曲がったことは許さないという。そういうところがあるから、見ているうちに憎めなく思えてきたりするんじゃないかな。だから演じていて、ものすごく体力は使いました。
ちょっと空気を読むとか、気を使うとか、そういうことはなくて、いちいち壁にぶち当たって、傷つけて、それでカサブタができたかなと思ったら、またそのカサブタを引っぺがしたりとか、そんなイメージがあります。なかなかダイナミックじゃないと、この役は立ち向かっていけないなと思いました。
――北村さんは今回、全編関西弁に挑戦されていました。事前にどのような準備をされたのでしょうか?
北村:方言テープを用意していただいて、ずっと聞いていました。エリアによっても微妙に違っていたりするみたいで、時代にもよるし、もっと言うとその人の性格にもよるしで、キリがないんですよね。なので、割と途中からそういう(割り切った)線は引きました。どんなに自分が完璧にやったと思っても、「こんなん言わへん!」という人が絶対にいるので。
それに、音声さんが、テストの僕の方言を聞いて「今そんなん言わへんで」って、本番直前に言ってきたりするんですよ。だから「えー!?」って(笑)。
板尾:こっちはやっと「これで行こう」って固めてるのにね(笑)。
北村:それはすごく僕にとっては面白い体験でした。本当はカチンとくるところなんだけど、僕はなんかそれでもう気が抜けちゃうというか…(笑)。キリがないので、自分が思う中で「正しくやれればいいや」と最終的にはなりましたけど。
――板尾さんは、関西ご出身ですよね。北村さんの関西弁はいかがでしたか?
板尾:ネイティブじゃないのでしょうがないですけれど、でもやっぱり俳優さんって、そういう方言に縛られずに自由にやられた方が(いいのでは)…。どこかで線を引いてお芝居に集中するというか、気持ちで演技していたので、別にそんなに気にはならないですけどね!言ったらキリがないですから!
僕も、大阪生まれ大阪育ちですけど、やっぱり時代によっては大阪の方言指導の人に注意されますからね(笑)。どこかおかしな大阪弁になっているんでしょうね(笑)。
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