2021年4月に宝塚歌劇団を退団し、新たな“芸の道”に踏み出す真彩希帆が、「今、会いたい人」にインタビューし、芸の道を極めていく連載「真彩希帆の知りたい!芸の道」。
第4回目のゲストは、真彩が宝塚を退団してから初めての舞台「ドン・ジュアン」で共演した吉野圭吾。2022年2月3日から始まるミュージカル「笑う男 The Eternal Love -永遠の愛-」でも共演が決まっている。
宝塚に入る前から吉野の出演舞台を観ては真似をしていた、と語る真彩が、ファンとして、そして役者として吉野のルーツや舞台人としての在り方に迫る。
真彩「『圭吾さんにお願いしたい!』とずっと思っていたんです!」
真彩:あらためまして、真彩希帆です。よろしくお願いします!
吉野:よろしくお願いします、吉野圭吾です!
真彩:この連載は、私がお話を伺いたい方にインタビューさせていただくという企画なのですが、子供の頃からミュージカルが大好きだった私は、企画が決まったときから「圭吾さんにお願いしたい!」とずっと担当の方に相談していたんです!
吉野:ありがとうございます。
真彩:念願だったので、今、緊張しています(笑)。
まず、私の思いをお話しさせていただきたく…。私は子どもの頃から帝国劇場でよくミュージカルを観ていたのですが、その中で圭吾さんの存在感というのがすごく大きくて…。
特に印象的だったのは「モーツァルト!」のシカネーダーと「ダンス オブ ヴァンパイア」のヘルベルト。舞台を楽しんでいる圭吾さんの姿がすごく印象的でした!
圭吾さんは幼い頃から舞台に立ちたいと思っていたんですか?
吉野:最初は歌手になりたいと思っていました。マッチ(近藤真彦)に憧れて(笑)。高校に上がったくらいでTHE ALFEEや尾崎豊を好きになって、その頃から「絶対に歌手になろう!」って。
真彩:そうなんですね!ダンスは子供の頃からやっていたんですか?
吉野:いや、高校は演劇科に通っていたので、授業でやるようになって…。高校からバレエを始めたんですよ。恥ずかしくてね…。1年間サポーター後ろ前逆に履いていたし(笑)。体は今でも硬いんです。
真彩:意外ですね! 圭吾さんはダンスの時の身のこなしが優雅で美しいというイメージがあって…。
「ダンス オブ ヴァンパイア」の時、浦井健治さん演じるアルフレートを追いかけているヘルベルト役の圭吾さんの姿を見て特にそう感じました(笑)。
あの舞台は5回くらい観に行ったんですけど、圭吾さんがジャンプして「見てぇーー!」って叫びながら浦井さんのことを追いかけまわしているシーンとか色々思い出しました(笑)。
私はその時の圭吾さんの「僕は君と…おしゃべりしたいな」ってせりふを聞いて、生まれて初めて「語尾にハートがついてる!」って感じたんですよ(笑)。
吉野:(笑)。
真彩:あのせりふを言うにあたって、何かポイントはあったんですか?
吉野:ありましたよ!
ヒントは彼の孤独な部分からきています。まず彼はお父さんであるヴァンパイアのクロロック伯爵と2人きりで暮らしていて、何百年も生きているのに友達もいない。
その孤独な日々の欲求から、住んでいるお城にやってきたアルフレートを「逃したくない!」っていう気持ちになったんだと考えました。
真彩:なるほど~!
吉野:あの作品のテーマは「欲望をむき出しにしろ!」とか「自分を抑えるな!」っていうことだと思うんです。その結果、どうなったかというと四つん這いに…(笑)。
真彩:(笑)。そう、お尻がすごく綺麗だったんですよ! 子供ながらに破廉恥というより、ダイナミックで美しいと感じました。
「モーツァルト!」でシカネーダーを演じられていた時も、圭吾さんの発声を聞いて奥行のある声の使い方をされていると思ったんです。
共演させていただいた「ドン・ジュアン」の稽古の時も思ったんですが、客席から聞いていて、ものすごく声の広がりが深いというか地響きのようなイメージがあって…。
マイクの精度とか関係なしに、自分の体から響かせている声だなと思いました。子供の頃から声は大きかったんですか?
吉野:昔は結構、気持ちだけで何もかもうまくいくと思ってやっていたんです。でもそれって喉を潰してしまう。
だから、徐々に声は計画的に出すようにしてはいるんだけど、結局怒鳴っちゃうこともあって…。俺の心の中は、尾崎だから…(笑)。
声が出なくても伝わるものってあるじゃないですか。どんなに美しい綺麗な歌よりも、気持ちがこもっている歌の方が俺は好きだから。
真彩:圭吾さんのその情熱的な感じが、“THEエンターテイナー”なんですよね。