<邪神の天秤 公安分析班>青木崇高インタビュー「自分たちで演じながらも“公安の怖さ”を感じていました」
「公安の人たちは何をモチベーションにしているのかなって」
――本作では舞台が「公安」となったことで、宗教法人と対峙するなど、鷹野が向き合う相手もこれまでと変わってきます。そうした部分での変化について、演じていて感じられたことはありますか?
青木:公安部は「事件を未然に防ぐのが使命」というのが刑事部との一番の違いなので、鷹野がそうだったのと同じように僕にとっても新鮮というか、慣れない部分でした。実際視聴者の皆さんも「公安のやり方」を見て戸惑うと思いますし、やはり被害者が生まれてから加害者を逮捕する刑事部とは、同じ警察とは言え完全に別の組織なんじゃないかなと思います。
ただ、これまでのドラマでは、公安って「謎の組織」として描かれることが多かったと思うんですけど、当然彼らにとっての大義名分と言えるものもあって。彼らが対応するのは国家転覆とかテロとかそういったもので、そういう事態に対して彼らが動いた軌跡とかは表に出ることは無いんですよね。
犯人を捕らえて事件解決、みんなに感謝されるみたいなこともないから、公安って何をモチベーションにしているのかなっていうのもあるんですよね。言ってみれば「国のために働いている」という部分もありますけど、下手をすれば自分の家族にまで危害が及ぶ可能性もあるわけで。
そんな危険を犯してまで、公安の人たちはどうやって仕事に向き合っているんだろうって話は、みんなで結構していましたね。
――せりふの難しさについてのお話がありましたが、公安ならではの言葉遣いで印象的だった言葉、その中で普段遣いしてしまいそうな言葉はありましたか?
青木:普段遣いしたら周りからは「は?」って言われちゃうと思いますけど(笑)、自宅のことを「本店」、帰宅のことを「入店」って言ったり、チームがバラけて行動している時に「営業1」「営業車」とか別の言葉で言い換えたり。どれも盗聴されていることを前提に使う言葉なので、意味がわからないようにしているのは面白かったですね。
あと、他人の前で公安の人間の名前を出さないっていうのも「おお~」って思いましたね。「捜査員同士には高い感性と阿吽の呼吸が必要とされる」っていうせりふもありましたけど、言葉の出し手と受け手の意思疎通ができないといけないので、暗号や隠語を瞬時に理解できる機転がきいて、ある種ジョークの感覚も持ち合わせた人じゃないと公安で働くのは無理なんだと思いました。
刑事部とのその違いに最初は戸惑う鷹野の姿や、我々のチーム以外の公安メンバーの描写とかもすごく面白いです。結構鳥肌立っちゃうくらいで。エンタメとしての面白さと同時に、自分も演じていながら「公安の怖さ」も感じますね。やっぱりエリート中のエリートたちが公安で働いているわけですからね。
「正解がない中でやっていくのはドラマ作りの醍醐味」
――青木さんはどちらかというとエキセントリックな役柄も多い印象があるのですが、本作の鷹野は感情の振り幅が少ない淡々とした役柄です。過去3作を含めて、鷹野の役作りはどのようにされてきたのでしょうか。
青木:表面に見える感情の幅は、これまで僕が演じてきた役柄と比べてだいぶ狭い気はします。ただ、鷹野の中でも感情はうごめいているので、表面化するものをだいぶ抑えてというところは心がけていましたが、なかなか難しいなとは思っています。
鷹野は常に状況を冷静に判断しつつ、アンテナを張り巡らせながら現場に足を運びます。そして相手が言っていたことを一語一句聞き漏らさない。記憶したものを反芻することで何か後に「そういえばあれ言ってたな」と思い出せるタイプだと思うんです。だから相手の話をよく聞くアクションは入れてました。
もちろん顔を見ていることもありますけど、より聴覚に集中している時は目を外していることが多かったりとか、想像するなら目が動いたりとか。右脳を使っている時は目が左に行くなど、聞く中で、独りよがりにならないように、そうなった時に自分の生理ってどうなっているかなって考えて。顔は全然変わって無くても手にそれが現れたりするかなとか、何かに使えるかなと考えたりしていました。
――原作はもちろんだと思いますが、その他に役作りで参考にされたものはありますか?
青木:家宅捜索の場面とかは参考としてYouTubeで見たりしましたけど(笑)、あとは公安ならではのエピソードを伺って。公安の方は仕事中も本当に普通の人に見えるようにしているそうで、衣装も今まで鷹野は黒のスーツでグレーのシャツというシャープな印象だったんですけど、より人に紛れ込みやすいように灰色に白のスーツで一般的な格好にしていますね。
いわゆる「公安はこうだ」っていう正解がない中でやっていくのは難しくもあるんですけど、ある意味ではドラマ作りの醍醐味だったのかもしれないですね。
2月13日(日)スタート
毎週日曜夜10:00ー11:00
WOWOWにて放送・配信(全10話)
(WOWOWプライムにて第1話無料放送、WOWOWオンデマンドは無料トライアル実施中)
https://www.wowow.co.jp/drama/original/jyashin/