家族からの支えやつながりが朝ドラ主題歌「燦燦」を生んだ
──先日まで放送されていたNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」主題歌の「燦燦」も話題です。三浦さんがタイアップ曲を担当される際に大切にしているのはどういったことでしょうか?
自分が感じた作品の空気がちゃんと楽曲に内包されるといいなというのはいつも思っています。今回の「いつしか」で言えば、宇宙と人の心という、この作品が持つ独特な空気感が反映されたらいいなと思いながら歌いました。楽曲も作品によって生み出されるところがあって。もちろん「いつしか」は「ぼくらのよあけ」があったからこそ生まれた曲だと思います。
──そんな想いのこもった「いつしか」が彩る映画「ぼくらのよあけ」、三浦さんは今作からどのようなメッセージを受け取りましたか?
「ぼくらのよあけ」は2049年が舞台。オートボットが出てくるような近未来ですが、今の僕たちと同じような悩みを持っていて、技術が発達しても人はそんなに変わらないんですよね。そう思ったときに、いろんなものとのつながりを大切にしたいなということをすごく感じました。登場キャラクターたちは、極秘ミッションを進める中で、いろいろな人と関わったり出会ったりしてつながっていくし、“二月の黎明号”も「知りたい」「つながりたい」という気持ちで動いていて。誰かと出会って、つながって、信じ合っていく。それはどんなに科学や文明が発達していっても変わらないことで、その気持ちを大事にするということは、人間としてとても大切なんじゃないかと改めて感じましたね。でもこの作品はそれを押し付けて来ない。この作品を見たあとにみんなが空を見上げて、それぞれが何かを思う、という作りになっているように感じて。そこもすごく素敵だなと思いました。
──本作からつながりの大切さを感じられたということですが、ご自身のこれまでの経験のなかで、特に大きかったなと思うつながりをひとつ挙げるとしたら、どのようなものでしょうか?
本当にいろんな人に支えられてきたので、ひとつを選ぶのは難しいですが、今強く思うのは家族ですね。昨年、父方のおばあちゃんが亡くなったんです。そのおばあちゃんとの思い出を歌にしたのが「燦燦」で。曲を作っているときに、おばあちゃんとの思い出をいろいろ思い返していたら、おばあちゃんだけじゃなくて、おじいちゃんや両親も……家族から無条件で信じてもらっていたなと感じて。自分は一人っ子ということもあって、放任してもらっている感じ、見守ってもらっている感じがあって、だからこそ自分がやりたいダンスや歌をのびのびできたんだと思うんです。ずっと無意識でしたけど、大人になって、「燦燦」を作っていく過程で気づいた、その家族の支え、つながりというのは大きかったなと最近改めて感じています。
■取材・文/小林千絵