紬「3年間ずっと一番好きだった人だよ」
ただ、紬にも言い分はあった。別れると決まって湊斗の家から私物を片付けに行った際のこと。これまですべてを包み込んでくれていた湊斗の後ろ姿は遠く感じられ、「別れてんの?この状況」と聞きたくなってしまうくらい、湊斗の横は居心地のいい場所だった。「別れてるよ」とほほ笑む湊斗の決意は固く、別々の道を歩むこととなった。
紬は湊斗からかかってきた最後の電話で「家族みたいで一緒にいて緊張感ないっていうか、安心しきっちゃって。一生懸命女の子っぽくしようとか釣り合うように頑張ろうとかそういうのなくて」「私“ぽわぽわ”してたと思う。戸川くんのこと好きだったよ、この3年間ずっと一番好きだった人だよ」と、想の代わりなんかではなく、ちゃんと大事な彼氏だったことを伝えた。
“ぽわぽわ”と“キラキラ”…恋の種類を知った紬
湊斗と付き合っているときの紬が“ぽわぽわ”していて安心しきっていたということは、紬の親友・真子(藤間爽子)も言っていた。一方、想といるときの紬は“キラキラ”していたという。想の前では前髪の乱れひとつさえ気にする紬が、湊斗といると100均のヘアピンで無造作に前髪を留め自然体でかわいらしくいられたのだ。
“ぽわぽわ”も“キラキラ”もどちらが優れているということはないだろう。紬にとって湊斗も想も両方しっかりと好きだったということが分かるだけに、この別れはとても切ない流れとなった。
湊斗いわく「想はポニーテールが好き」だという。しかし、紬は想と“出会い直し”の場に一度結った髪を下ろして向かった。“ぽわぽわ”する幸せも知った紬が、“キラキラ”してばかりはいられない想との恋路を歩み始めるのかどうか、この先も注目していきたい。
◆文=ザテレビジョンドラマ部