「ヒプステ」に出たことで、俳優としての自分自身と向き合った
──ご自身のキャリアや俳優人生において、ヒプステに出たこと、出ることによる変化や影響はありますか?
井出 僕は「ヒプノシスマイク」の舞台の仕事をするということが発表されて、ラッパーの友達から「マジ!?」「すごいじゃん!かましてきてよ」という連絡がたくさん来ました。
鮎川 僕は寂雷先生に出会ったことで、自分を知ることができたというのが大きいですね。こういうインタビューでも「寂雷とどこが似ていると思いますか?」と聞かれることも多いし、寂雷先生と自分を対比することによって、寂雷先生についてはもちろん、自分についてもより知ることができるんですよね。例えば、僕は普段はこんな感じで明るいですけど、俳優としての武器は、寂雷先生のような低い声だったり、落ち着きだったり、華麗な動きだったりする。もちろんどんな役でもできるのが役者ですが、でも(飴村)乱数のような明るくてキャピキャピした役は、たぶん僕にはできないし、回ってこない。……みたいに、自分を見つめるきっかけになったのが、ヒプステで得た一番大きいことかな。
井出 太陽くんの乱数、見たいな(笑)。
鮎川 「じゃ~くらいっ!」
井出・荒木 デカ~!(笑)
荒木 僕は……ヒプステに出て、自分の今後のことについて考えました。この先、ヒプステのような作品が舞台のメインになっていった場合、舞台俳優は歌とダンスが当たり前のようにできないといけないんだと思うと、40歳手前の僕がここから歌とダンスを習得しても、若い子たちのようにはできないわけで。でもこれくらいキャッチーなことができないと、お客さんを惹きつけられないんだというのも現実ですよね。
井出 いやいや、できますって! ファンの人も読むんですからやめてください! ドキドキしちゃいますよ!
鮎川 でもリアルでもありますよね。こういう場で本当のことを言うのが荒木さんのいいところです。
荒木 ネガティブな意味じゃなくてさ。僕はヒップホップカルチャーが好きで、ヒップホップの良さをみんなに知ってもらいたい、ヒップホップカルチャーが身近なものになってほしいというのが、ヒプステに出た一番の理由だったんですよ。だから出られてうれしかったし、幸せだった。さらに若いキャストたちが、ヒプステを通してヒップホップを好きになって勉強している姿を見ると、いい環境だな、いい作品だなと思う反面、自分に置き換えると「俺にはそんな時間はもうないのかも」と思って。
井出 そんなこと言わないで! 俺はここからヒプステに入るんだよ!(笑)
荒木 あははは(笑)。じゃあ、あと5年は頑張ろうと思います(笑)。
鮎川 とか言って、40歳超えたら、また「あと5年は」って言ってくれるよ。
荒木 もちろん年齢を言い訳にサボるつもりもないし、パフォーマンスに必死になるつもりではありますけどね。「いつ引退するの?」と言われるくらい続けられているといいですね。
井出 お願いしますよ!
このメンバーで歌うことで、すべての曲が新曲になる
──では最後に、今回の『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage《Bad Ass Temple VS 麻天狼》の見どころや注目してほしいところを教えてください。
荒木 このメンバーで歌うことで、シンジュクのすべての曲が新曲になることですね。どの曲を聴いても新しいシンジュク・ディビジョンになっているので。あとは歌い分けもこれまでのパターンを崩しているところもあって、面白いことになっていると思います。シンジュクはtrack.2とtrack.4しか出てなかったので、その続きが観られるということももちろん見どころです。
井出 今回は“麻天狼”の良さに改めて気づけるような作品になっていると思います。と言っても「俺たちってこういういいところがあるんだよ」と主張しているというわけではなくて、ナゴヤと比べたときに「こういうところが“麻天狼”らしくていいところだな」と思える。その良さは、ここで言葉にはしませんが、観てもらえれば感じてもらえると思いますので、それをきちんとお届けしたいなと思います。
鮎川 “麻天狼”として舞台に立つのはひさしぶり。また3人で行動を共にしたり、お客さんの前でハンドサインを掲げて歌ったりできるのが楽しみです。“麻天狼”の絆や独特な関係性を感じてもらいたいのはもちろん、ヒプステって音楽があってお客さんと一緒に楽しめるのも良さで。行く前もワクワクして、観ているときも楽しくて、終わったあとも余韻に浸れる。そういう作品だと思うので、何度でもヒプステを楽しんでいただけたらと思います。
■取材・文/小林千絵
撮影/曽我美芽
『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage《Bad Ass Temple VS 麻天狼》
2022年12月1日(火)~12月18日(日)東京・品川プリンスホテル ステラボール
公式サイト
https://hypnosismic-stage.com/BATvsM/
公式Twitter
@hm_rtstage
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発売日: 2023/02/01
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