誰も見たことのない新しい特撮ヒーロー作品を開発することも僕らの大切な義務
──現在は「仮面ライダーアマゾンズ」シリーズ(シーズン1='16年、シーズン2='17年/Amazonプライム・ビデオ)も手掛けられていますが、ウェブ配信の作品を作ったことによって、今後につながる発見や気付きはありましたか?
「シーズン2を制作してみて、『まだ可能性があるぞ』ということが、ちょっと見えかけてきた感じですね。シーズン1のときは、テレビ版へのカウンターというか、同じ『仮面ライダー』の冠を使いながら、当時放送していた『仮面ライダーゴースト』('15~'16年テレビ朝日系)の視聴者が、全くの別物として楽しめる作品を目指していたんです。でもシーズン2は、『エグゼイド』のファンのことは、あまり意識していない。それより重きを置いているのは、今までのどの仮面ライダーとも違う、新しい作り方を目指そうと。極論を言えば、“正義が悪を倒す”という形にも、もはやこだわらなくていいんじゃないか、とかね。古今東西のヒーローものは、“正義が悪を倒す”というゴール地点は決まっていて、そのゴールに向かう道のりの部分を、手を変え品を変え工夫しているわけですけど、一方では、その決められたゴールがストーリーを作っていく上での安易な“逃げ道”になってしまうこともある。新しい仮面ライダーを作るには、まずその逃げ道を断たないとダメなんじゃないかと」
──では白倉さんは、仮面ライダーとは違う、そしてスーパー戦隊とも違う、全く新しいヒーロー作品を作りたいという思いも…。
「もちろんあります! “仮面ライダー45周年”“スーパー戦隊40作”と言うと聞こえはいいけど、悪い言い方をすると、過去の遺産ですからね。もちろん、これまで先達が築き上げてきたものを継承していくことは大事です。ただ、せっかくヒーロー番組を作れる環境にいるんだから、それを十二分に生かして、“新商品”、つまり、新しい今まで誰も見たことのない特撮ヒーロー作品を開発することも、僕らの大切な義務だと思うんです。常に新しい企画は考えていて、実際に今、具体的に温めている企画もあります。近いうちにぜひ実現させたいですね」