座長・神木隆之介は「一瞬で役に没入できるタイプ」
――神木さんは鉄平と玲央という2つのキャラクターを見事に演じ分けていますが、実際にお芝居をご覧になってみていかがですか。
「見たことのない神木さんを作りたい」と話していて、現代パートはホスト役にしたのですが、(神木が)ロケをさせていただいたホストクラブの方に「女性に声を掛けるときってどうしているんですか?」とかなり具体的にお話を聞いていて。そして、そこで得た要素を演技に取り入れるのが本当に上手だなと思いました。
第1話で玲央が女性に声を掛けるも無視されてしまって「ケーチ」というシーンがあるのですが、そのときの言い方も生っぽいといいますか、リアルだなと。
実はあの日、夕方まで鉄平だったんですよ。夜だけ玲央を演じていただいたのですが、この切り替えはご本人もすごく難しかったとおっしゃっていました。鉄平は真っすぐで前向きなキャラクターですが、夜になった瞬間に全てを無にするという玲央のモードに持っていくのが大変だったみたいです。
ですが、見事に演じ分けてくれているなという印象ですし、玲央の死んだような目とかがなじんでいるなと。それが今後どのように変化していくのか、私自身も楽しみです。
――現場での神木さんの様子はいかがですか。
没入型といいますか、ご本人もおっしゃっていたのですが「よーいハイ!」でスイッチが入って、カットがかかった瞬間、素の神木さんに戻るんですよ。ずっと役に入ってしまって話しかけられない俳優さんもいると思うのですが、全くそんな感じはなくて。切り替えが素晴らしく、一瞬で役に没入できるタイプなんだと思います。
それに加えて、お芝居がとにかく自由で。台本に書いていない行間も埋めてくる感じといいますか、いつもアイデアをくださるんです。
第1話でも父・一平(國村)に靴下を投げるシーンがあるのですが、あれも靴下を脱いで投げようと思い付いたみたいです。國村さんだけに「すみません、(靴下を)投げます」と言っていたと後から知ったのですが、どうやったら面白くなるかを常に考えている方だなと思います。