──そのころから本格的に舞台で活躍されていましたが、もともと役者に興味が?
「正直、最初はなかったです。でも2012年の初舞台『PRIDE』で、カーテンコールのときに客席にいるかたが喜んでいたり、切ない表情を浮かべているのを見て、思わず泣いてしまったんです。自分たちで作り上げた2時間弱。それがこんな風に人に何かを感じさせることができるんだって…それからですね。その後も壁にぶつかるたびに、演技に対する本気度が上がっていきました」
──“壁”というのは具体的には?
「演劇「ハイキュー‼」に初めて出たときに、自分が持っているメソッドじゃ通用しないなと。今までの舞台では動かなかったところでも、「ハイキュー‼」では常に全員が動いているんです。最初は戸惑いもありましたけど、稽古映像を見たときに“演出家はこうやって見せたかったんだ!”って。先入観みたいなものがパンってはじけるたびに、壁を乗り越えられてきたような気がします」
──今はどうですか?
「楽しいです! でも純粋に楽しいと思えるようになったのは最近。それこそ10カ月前くらいまでは悩んでいたかもしれない。それまでは楽しんじゃいけない、自分に負荷をかけないといけないって思っていたんですよ」
──そうやって自分を追い込むことで、奮い立たせていたということですか? でも精神的にはかなりつらいですよね。
「かなり(笑)。でもある日 “もっと自由にやっていいんだ!”って思えたんです。そしたら去年の秋の「ハイキュー‼」(進化の夏)の大阪公演のときに、演出家のウォーリー木下さんに、『演劇を楽しんでる!』って言われて、すごく嬉しかったです。周りにも気づいてもらえるくらい変わったんだなって思いました」
──では「10カ月前にリピートできますよ」と言われても?
「絶対戻りたくないです(笑)。 10か月前は「ハイキュー!!」が終わって『刀剣乱舞』に差し掛かるくらいの時期だと思うんです。2作品とも、体力がすごく必要な舞台で(笑)。「ハイキュー!!」に関しては、プロジェクション・マッピングを作るので、先に役者が土台を作らなければいけないんです。だから稽古も3時間走りっぱなしで、基本的にぶっ通し。『刀剣乱舞』も後半は殺陣の連続。あの2作品を経験したから、『俺、大丈夫!』って自信を持てたところもあります。なので、僕自身は10カ月前に“リピート”はしたくありません!(笑)」