独断と偏見のレビュー
第2話序盤の見どころでいえば、多衣が通子に“借金の担保”を渡す場面。あの帯がそこまで深い意味を持っていたとは。そう考えると、第1話での2人のやりとりがますますゾワゾワする。
それに通子にしろ多衣にしろ、言葉遣いがとにかくきれいで決して感情的にはなっていないのに、絶対に負けられない闘いがそこにはあるような空気感がすごい。
それは、決して混じり合うことがない絵の具を使ってお互い好き勝手にお絵かきしているというか、真っ白なキャンバスならぬ真っ黒なキャンバスに、目には見えない罵詈雑言を笑顔で描き合っているような不気味な雰囲気すら感じた。
うまいこと言ったつもりで言えてないのはご愛嬌。
第1話でも思ったが、原作者の影響か龍居由佳里先生の脚本だからなのか、あらためて言葉遣いもそうだけど言葉の選び方、表現が美しいなとつくづく。
自称・言葉の遊び人としてはここも嫉妬ポイントだった。
ドラマを見る前に何げなく紹介文に入れていた“ドロドロ愛憎劇”というのも、第2話まで見た後ではそう評するのも気が引けるような…どこか気品がある、気高い愛憎劇に見える。
とはいえ、ここからドロドロ度合いが増していくのかもしれないから、言いきらないようにしておこう。何事も煮えきらないのが男の特権だしな。
あとは、ちょいちょい入る木村のナレーションも静かな口調で力強く、さながら事件系の2時間サスペンスのよう。
何かおぞましい出来事がすぐに起こりそうな気がして緊張感があって作品を盛り上げているし、細かいが矢場(青柳翔)と八重(荻野目慶子)の再会シーンがかわいらしかった。
それにある人が言う「真面目な人ほど女の沼にハマりやすい」というのも第2話では印象深い。
筆者も真面目が売りでこの数十年生きてきたから、全然耐性のない世界の、例えば元モデル的な美女に電話一本で無理難題ふっかけられたらひとたまりもなく…チョロい。
たぶん、電話の向こうで「今日もあいつチョロかったよ!」って上司に報告されているんだろうな。(※フィクションであり、被害妄想)
私情はさておき、“四角関係の当事者”とされる男性側の2人の対峙(たいじ)シーンもワクワクした。
そんなにがっつりと会話をしているわけではないのに、女性の嫉妬以上に男性の嫉妬の方が闇が深そうだなという予感がヒシヒシ。実感を込めて言うが、男性の方が嫉妬したらタチが悪いのだ。
そして事前に情報も出ていた多衣と旬平のペアルック。旬平とのラブラブペアルックを見せつけることで通子への強烈なマウンティングを展開する多衣の末恐ろしさ…ビジネスクラスどころかファーストクラスだな。
本当に怖い思いをしたときに、人はつい笑ってしまうとはよく言うが、確かに笑ってしまった。
長々と私情多めに書いてきたが結論、脚本・演出含めこの制作陣には最大級の嫉妬しかない。
3話以降も闇深い嫉妬に苦しみながら、楽しんでしまうのだろうな。
文=人見知りシャイボーイ