人とのつながりの大切さも再確認できるドラマ
――実際に撮影をして感じた“ボロ宿”の魅力を教えてください。
ちょっとだけさびていたり、はがれかけていたり…、装飾品も懐かしく感じるものがありました。昔友達のおばあちゃんの家で見たことがあるダイヤルを回すタイプの電話など、全く知らなくても懐かしいと感じるものが多く、おばあちゃんの家に泊まりにきたような感覚になりました。
ドラマに出てくるおかみさんやご主人は女優さんと俳優さんですが、実際に宿をやっているおかみさんの人柄をそのまま脚本に反映しています。ドラマの撮影が終わった後に、お話しする機会がありましたが、本当にあたたかい方々ばかりでした。
ドラマの中では、「この2人、どうなっていくんだろう」というような龍二と春子の痛々しいシーンもたくさんあります。でも、おかみさんなど(各地で)出会う人たちによって(2人は)成長し、変化していく。そんな人とのつながりの大切さも再確認できるドラマかなと思います。
――深川さんが演じる春子はどのような人物ですか。
春子は、喜怒哀楽が全面に出ているような女の子。私もここまで気持ちの振り幅が大きい役にチャレンジさせていただくことは初めてでした。
今回、監督が5人いらっしゃって、各回ごとに監督が変わります。(それぞれの)監督が求めるものも全然違っていて、みんなで作りながら、自分の新しい引き出しを開けていただきました。
春子は、いじっぱりだったり、負けず嫌いだったりしますが、レトロなものや古いものへの愛情、父への愛情がとてもあります。
表には出さないけど、龍二と春子の根底には愛情があって、台本を読んでいて、いとおしい気持ちになりました。ドラマの中ではけんかばかりしていますが、そういう2人の根底にあるものが見ている方に伝わったらいいなと思います。