清野さんが演じたしのを引き継ぐ
――律子に加え、今回はしのの晩年と二役を務めることになります。
6月ごろから「道」パートの撮影に参加する予定なのですが、しのは石坂さんが演じられる栄さんのナレーションの中で「とにかく明るい女で、どこか抜けている」という表現があります。晩年のしのも活発で、実は私と同じくらいの年齢から始まることに驚きました。
「道」は倉本さんの舞台の脚本をベースにしているようで、しのは90歳過ぎくらいまで生きるんです。そこで、倉本さんに「舞台で演じていた女優がうまくて、(90歳のしのは)こうやって演じるんだよ」と身振り手振りで演技指導をしていただきました。
――「道」で夫婦役となる橋爪功さんの印象は?
20代の頃に橋爪さん率いる「演劇集団円」に一度呼んでいただき、共演させていただきました。その後も映画「東京家族」(2013年)や映画「家族はつらいよ」(2016年)でもご一緒しています。
橋爪さんは色気があって、とても達者な方。言葉のキャッチボールがお上手ですし、どんな状況でも演じてくださる。どんなお芝居をされるのかイメージできるので、こちらも演じやすいです。
実際に現場を踏んでからもいろんなことを感じたり気付いたりするのかなと思うので、今想像しているだけでも楽しみです。
――「道」でバトンを受け取ることになる清野菜名さんの印象についても教えてください。
前作の「やすらぎの郷」で、清野さんは栄がかつて心を惑わされた女優の孫・榊原アザミ役で出演していて、その時にお見掛けした印象と違って活発なんだなと思いました。
結構、私の好きなタイプなんです(笑)。私にとっては理想的な女性。清野さんがしののロールモデル(手本となる人物)になるので、私がそれをちゃんとつないでいけるのかプレッシャーを感じます。
晩年のしのは、八千草さんが演じられる予定だった役として見られる方も多いかと思いますが、どちらかというと“清野さんが演じたしのを引き継ぐ”ということを意識して演じていきたいです。
本当にとても魅力的でかわいくて、と思ったら活発で頭も切れますし、そんな両面を持ち合わせたすてきな女性です。