<いだてん>岩松了が明かす宮藤官九郎脚本の魅力「読んでいると、宮藤くんのエネルギーを感じます」
宮藤官九郎が脚本を務める大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)。
5月19日に放送された第19回では、日本人初のオリンピアンである本作の主人公・金栗四三(中村勘九郎)の発案により実現した、第1回箱根駅伝の模様が描かれた。
この箱根駅伝のゴールにいたく感動していた人物がいる。それは、大日本体育協会の理事で、会計管理をしている岸清一(岩松了)だ。
これまでは、借金まみれの嘉納治五郎(役所広司)に、渋い顔で資金繰りについて厳しく意見していた岸。しかし、駅伝で傷だらけになったゴールでは、嘉納に抱きついて歓喜する。
そんな岸を演じる岩松にインタビューを行い、本作での見どころや、演技のポイントを聞いた。
岸清一は「まるで僕と違うタイプの方です」
――実際の岸さんの肖像画にそっくりと言われてますが、ご自身でも似ていると思われますか?
似てるとは言われますけど、岸清一さんご本人の方がちゃんとしてますよ(笑)。
岸さんは二代目の体協の会長になりますし、もともとは弁護士さんで、お金持ちで人格者の、まるで僕と違うタイプの方です。
――最初の登場シーンでは、不敵な笑みを浮かべているように感じましたが…。
弁護士としている時には、嘉納さんから煙たがられている部分もあるので、そういう意味ではちょっと悪役っぽい感じで、最初はすごく嫌な奴というふうに見えていると思います。
岸さんは両極端なんですよね。
弁護士としてのシニカルさを持っている面と感激屋な部分が極端なので、自分としては、視聴者がどんな印象を受けるのかなと思っています。
――感激屋な一面が見えたのは、箱根駅伝のシーンですよね。
そうですね。駅伝のゴールの時、初めて感激している姿を見せます。
そこから、露骨に態度が崩れるのかなっと思っていたんですけれど、また元に戻るんです。
「えー!」って思いましたよ(笑)。
でも、(第19回と20回の演出担当)大根(仁)さんに「この間はあんなに感激したのに、こんな渋い顔をしてていいんですか?」と聞いたら、「元通りにしてください」と言われました。
――岸がひたすら感動している箱根駅伝のシーンを撮影されたときにはどんな気持ちでしたか?
先ほども言いましたが、(箱根駅伝が終わった後は)また元通りの感じになるので、あのシーンで嘉納さんに抱きついたり、あんなに弾けて良かったのかなって思いました。人格がバラバラに見えちゃうんじゃないかとちょっと不安です。
あとは、2位でゴールした人がひざから血を出してるから、「大丈夫!?」って言ったんですけど、血のりでしたね (笑)。
――では、感激屋の面ではなく、シニカルな顔が見られる体協でのシーンを撮影したときにはどのように思いましたか?
体協でのシーンについては、同じ場所で、シチュエーションだけ変えてまとめて撮った感じでした。
細かいことは覚えていませんが、どのシーンも一生懸命やったので、放送された時にはどういう印象になってるのか気になります。
それぞれの脚本が面白いのは分かるんですけど、結果的にどんなふうになっているのかが自分では読めないんですよね。
――感情の振り幅を出すために意識していることはあるんですか?
いや、意識はしていないです。
大声出して感激したりして、ベースの岸さんの釣り合いがとれるのかなというくらいの振り幅になっていますけど、ディレクターもOKって言っているからいいのかなと思いながらやってます(笑)。