<いだてん>岩松了が明かす宮藤官九郎脚本の魅力「読んでいると、宮藤くんのエネルギーを感じます」
読んでいると、宮藤くんのエネルギーを感じますね
――岩松さんはご自身でも、映画や演劇などの演出や脚本をご担当されていますが、「いだてん」を演出家目線から見ると、どんな印象ですか?
この先いろんなシーンの撮影が控えていて、“感激の極み”みたいなシーンの撮影もあるんですけれど、全体で見たときに、岸という人物の統合性が取れるのかなと、ちょっと不安というか…。
次から次へと撮影しているので、どうしても掴みきれないまま先に行っている印象があるんですよ。だから、もっとじっくりやりたいという気持ちもあります。
ただ、脚本が面白いからそれに身を任せればいいのかなって思っています。
――宮藤さんの脚本の面白い部分や魅力はどこだと思いますか?
読んでいると、宮藤くんのエネルギーを感じますね。面白いし、すごいなと思います。
僕も脚本を書きますけど、こんなエネルギーは僕にはもうないなと思ってしまいます。いろんな世界を描く話って、書くのに体力がいるんですよ。
作家とはいえ体力勝負なところがあるので、あれだけの違う世界に体と頭を持って行って書くというエネルギーは本当にすごいです。
時代の重ね方もすごくうまいと思うし、細かいギャグだけではなく、偉人の有名なせりふやエピソードがさりげなく入っているところがまた、面白いなと思って。
普通の大河ドラマだったら、有名なエピソードの部分を目一杯に抽出して見せるんでしょうけどね。
このドラマでは、大事件だけを抽出せずに、いろんなことが重なり合っている中に大事件が紛れているというふうな表現の仕方をしているんですよね。
小さな出来事も大きな出来事も平行して描いているというところが斬新だし、宮藤くんらしいなと思います。
だから、従来の大河を期待している人にはもの足りなかったりするのかもしれないんですが、そこがこのドラマの面白みかなって思ってます。
――登場人物にもエネルギーがあふれている人がたくさんいますよね。
そうですね。嘉納さんはすごいですよ。演じている役所さんはとにかくせりふが多いし、大変だろうなと思います。
これから放送される1932年のロサンゼルスオリンピックのシーンを撮影したときには、役所さんは英語のスピーチをずっと覚えていましたからね。僕はそのときはニコニコ笑っているだけで良かったので(笑)。楽させてもらいました。
他にも、ロサンゼルスオリンピックで日本が金メダルをいっぱいとり、選手たちがエキシビジョンをやることになるというシーンもすごかったです。
水に濡れるからリハーサルもなくて、一発勝負で撮影していたんですけれど、ずっと立ち泳ぎで、もう大変。
その日の撮影で一番楽だったの僕でしたね。泳がなくていいし。