「無駄な演出をやめ、丁寧に描くこと」
――この作品では震災だけでなく、刑事・法医学者として事件に関わったり、朝顔と桑原の恋が描かれたりと、要素が多い印象ですが、工夫などはされていますか?
1つだけ「カメラが演出しない」ということにこだわっています。固定カメラのみで撮影しているので、カメラが動いての演出が一切ないんです。
その中で、視聴者の方がキャラクターの感情を読み取れるようにお芝居をしてもらうのをメインにしています。カメラが動いちゃうと主張し過ぎちゃって、このドラマには向いていないと思って、ここにこだわっています。
これをやっていることで、訴えたいことがお芝居のみになるんです。お芝居が表現できていれば、訴えられると思っています。
初めから考えていたこだわりなので、どんな場面であれ、そのシーンの言いたいことを伝えられる力のある役者さんがそろっていますね。
――“月9”という枠のイメージと比較すると、テンポが穏やかな作品ですね。
この間ネットに「こんなにゆっくりな刑事ドラマ初めて見た」って書いてありました(笑)。確かにゆっくりですね。
でも、そのイメージは逆行してもいいと思ったんです。“スピード感”も演出の一種なのかなって思って。無駄な演出をやめることが、震災を丁寧に描くことにつながっていると思います。
亡くなった方やご遺体を扱うので、見ている方の中には「こういう場面経験したことがある」という人も多いと思うので、すべてのシーンでふざけてはいけないと思います。