京都の街の風景を使った、地域密着型の作品
――実際のお店など、京都の街の風景を使った撮影はこの作品ならではですね。
中井:則夫たちが悪だくみをする“居酒屋・土竜”というのが前回同様に登場するんですが、あそこなんてよくロケに使ったなと思うくらい狭くて。カメラを置くと人が入れなくなったりと撮影するのは一苦労。
冬の寒い時期に撮影をしたのですが、セッティング待ちは基本外なので。もう寒いのなんのって。
でもその感じが「嘘八百」の象徴みたいな感じがして。みんなが無理して一丸となって一つの作品を作っていました。
佐々木:あと、佐輔の一軒家同様、今回の京都の「獺」もかなり風通しが良くて寒くて狭い(笑)。
中井:セッティングの間は向かいの不動産屋さんを待合室にさせてもらって…。おトイレをお借りしたりほぼ自主制作映画みたいな感じなんです(笑)。
不動産屋さんはお茶を出してくださったりとすごくよくしてくださって、僕たちも長いこといるので物件について話を聞かせてもらったりして…。
佐々木:もう恐ろしいくらいの地域密着型の作品。
中井:でもそういう方たちがいないとできない作品でした。
――最後に本作は古田織部の幻の茶器を巡る物語ですが、お二人にとって国宝級に大事にしていることはありますか?
佐々木:う~ん。これは難しいな~。
中井:“愛”とか言うんじゃないの?
佐々木:いやいや。貴一さんこそ“夢”とか言うんでしょ。
中井:当たり。僕は“夢”ですね。
佐々木:僕は“愛”です。
中井:ははは。なんだこれは(笑)。でもこんなやりとりが見られる映画なので。
佐々木:大人のわちゃわちゃした感じがよく出ていて、どの世代でも楽しめる作品になっています。ぜひ多くの方に見ていただきたいです。
取材・文=玉置晴子