松山博昭氏「スペシャルドラマはかなり大がかりなトリック」
――5月25日(月)と6月1日(月)に「鍵のかかった部屋 SP」が2週にわたって放送されますが、SPドラマ撮影中に印象に残っていることは?
当時は、連ドラで原作を全て使用してしまっていたので、原作がなくて。「鏡の国の殺人」というのは、プロットか、もしくはまだ発表する前のラフな原稿で、まだ世の中に事件が出ていなかったんですよ。
それをもらって、いろいろ検証して映像化していったので、貴志祐介先生は発表する前に映像化されたことで、こうなるんだ、ああなるんだ、と細かく分かって良かったとおっしゃっていました。
あとは、相当難しいトリックだったので、(稲葉透役の)藤木直人さんが理系出身ということもあり、「これ、こうなるんじゃない?」と現場で言われて「確かに!」となったこともありました。
スペシャルドラマはかなり大がかりなトリックでしたので、かなり試行錯誤して大変だったという記憶があります(笑)。
もともとは、全く違う事件を絡めて一つの物語にしているので、今回はそこを2週に分けて放送するので、より原作に近い形にはなると思います。
――監督の作品は劇中での会話の途中で突然画面が黒くなって場面が切り替わるシーンが多々見受けられますが、そこにはどのような意図があるのでしょうか?
編集に自分のリズムがあるので、それが気持ちいいというのもあるのですが、シーンに合わせて曲を編集することもあるんです。ここで榎本が決めぜりふを言うから、ここに曲のサビを持っていきたいとか、無理な曲の編集をつけるとき、普通にきれいにシーンが終わっていくと、曲をきれいに終わらせなければいけないじゃないですか。
それはフェードアウトとか、曲の終わりの部分を持ってきてやるんですけど、それをやると途中から曲の終わりの構成を持ってくることになり、最後の部分が盛り上がらないまま終わってしまう。その場合は、最後まで盛り上げ続けてブチッと切った方がシーンいっぱいに盛り上がったドキドキがギリギリまで続くという狙いがあります。
あとは、黒い画面を挟むことで時系列の変化が分かりやすくなるということもありますね。