大ヒット「君の名は。」のヒロイン・萌音の声は「女神のよう」
まず、デビューのきっかけが同じというのがいい。2人は2011年の第7回「東宝シンデレラオーディション」に参加した。姉が12歳、妹が10歳のときだ。グランプリに選ばれたのは、妹の萌歌だった。姉も審査員特別賞を受賞し、姉妹揃って事務所に所属した。自分ではなく妹がグランプリだったことに、おそらく複雑な感情があったであろうことは想像に難くない。
先に女優として注目を浴びたのは姉の萌音のほうだった。2014年公開の映画「舞妓はレディ」でいきなり主演に抜擢されたのだ。この作品で「日本アカデミー賞」新人俳優賞など様々な映画賞を獲得した。その後も舞台やミュージカルなどに主演し、2016年公開のアニメ映画「君の名は。」でヒロインを演じ、共演した神木隆之介から「女神のよう」と評された声で、社会現象ともいえる大ヒットを記録した。
役が水泳づく妹の萌歌、「女優人生、個人メドレーを目指したい」
一方、妹の萌歌は、ちょうど「君の名は。」の公開と同時期に、ミュ ージカル「赤毛のアン」で主演。この役は前年、姉が演じたものだ。その後も姉の後を追うように舞台、ミ ュージカルの主演を続け、2018年には 「未来のミライ」で声優としても主演。
そしてこの年、前述の「羊と鋼の森」で姉妹共演を果たした。この作品で今度は萌歌が「日本アカデミー賞」新人俳優賞を受賞した。萌歌の勢いは加速し「義母と娘のブルース」(2018年、TBS系)、「3年A組―今から皆さんは、人質です―」(2019年、日本テレビ系)、大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(2019年、NHK総合ほか)と話題作に次々と出演。
少し可笑しいのがその役柄が水泳づいている点だ。「3年A組―今から皆さんは、人質です―」では、自由形のオリンピック代表候補、「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」では平泳ぎで金メダリストとなる前畑秀子、映画「子供はわかってあげない」では背泳ぎの水泳部員を演じている。「だから私は女優人生、個人メドレーをめざしたい」(日本テレビ系「おしゃれイズム」2020年6月14日)と笑う。