田辺誠一が演じるキャラクター・海老沢を分析!
――「シーズン8」が決まった時の気持ちを教えてください。
「シーズン8」が決まったと聞いた時は、とてもうれしく思いました。実は去年の「シーズン7」の最終回の台本がいつもと違う感じで「シーズン1」からこれまでを振り返るような描写があって、「なんだこれは…!」と思いました。「もしかしたら、『刑事7人』だし、『シーズン7』で終わるってことなのか」と冷静に分析しちゃいました。そんなこともあり、今回、最新作のお話をもらった時は、「お!またみんなで作品を作れる!」という、うれしい気持ちでいっぱいになりました。
――「シーズン8」の撮影中に思い出に残っているエピソードは?
思い出に残っているエピソードはたくさんあるので絞るのは難しいです。あえて挙げるのであれば、「刑事7人」は自分の足を使って外へ出掛けて捜査するというのが魅力の一つでもあるので、暑い中、汗をかきながら、虫と闘いながら毎シーズンを撮影しています。なので、今年もそういった撮影をみんなで一緒に乗り切ったというのが一番印象的なエピソードではないでしょうか。
――では、シーズン1からシーズン8までを振り返ってみて印象的だったお話はありますか?
「シーズン7」で海老沢が立て籠もり事件の人質になってしまう回(2021年8月11日放送「シーズン7」第4話)や「シーズン8」の子どものある証言から海老沢が、犯人は宇宙人なのではないかと疑う回(2022年7月27日放送「シーズン8」第3話)です。海老沢がメインになるお話は子ども絡みのストーリーが多く、いつもの「刑事7人」とは、少しニュアンスが違うことがとても面白かったです!
「刑事7人」というと全体的に格好いいのですが、海老沢だけはそうじゃないんですよね。海老沢自身は他の「新専従捜査班」メンバーに比べるとできる人ではないんです。チームの一員としてならば、不器用ながらもチームのためになんとか貢献できるのですが、個人の能力は決して高くはない。チームがあることによって、海老沢は居場所ができて助かっている。
海老沢は個人ではなく、チームで輝く男なんだよというのが分かる回でもあるので、とても印象的でした。
――田辺さん自身が感じた演じるキャラクター・海老沢の変化は?
海老沢が登場したのは「シーズン4」からなのですが、最初は結構、角が立つ性格と言いますか、強い口調でしか会話をすることができないキャラクターでした。組織の中でのし上がることしか考えていなかったこともあって、「仲間」というものに対しても、今のように信じ切れていなかった部分があったように思います。
それが、シーズンを重ねるごとにどんどん柔らかくなってきて、信じ切れていなかった「仲間」という存在に頼り、頼られ、海老沢なりに「仲間」を大切にしているという所が、僕自身が海老沢に感じた大きな変化です。
私生活の海老沢で言うと、子どもがたくさんいる大家族の大黒柱であることが分かったり、「シーズン7」では、海老沢の孫が誕生していたりと、大きな変化がありました(笑)。
――演技にも何か変化を加えたりするものなのでしょうか?
設定が変化するならば、それに合わせて自分自身の演技にも自然と変化を与えるようにしています。台本を読んでみて、「こういう変化であればこういう演技をしてみようかな?」と自分自身で考えて、演技に取り入れています。
誰もが見て「変わったな…海老沢」という大げさな変化ではなく、ちゃんと海老沢という一人の人間に寄り添って、「あれ?ちょっと柔らかくなった気がする…」と作品を見てくださる視聴者に違和感なくなじむような変化を加えています
――そういった演技に対し、監督から「こうしてください」などの指示はありますか?
もちろんあります。監督から提案をもらうこともあれば、逆に僕から「こうしてみたいのですがどうですか?」と提案したりもします。演じてみて、よければそのままOKをもらえる時もあれば、何かが違うとなれば修正して、もう一度練り直すこともあります。