田辺誠一が“俳優”小瀧望を感じた瞬間とは?
――長年共演しているからこそ、田辺さんだけが知る東山さんの「変化」を教えてください。
今年は更にギャグが増えた気がします(笑)。休憩中などに、東山さんご自身のキャラクターも、東山さん演じる天樹も言わないようなユーモアあふれることを言って撮影現場を和ませてくれています。かなりギリギリの所も攻めてくるので、本当に笑ってしまいます。
きっと、東山さんの事務所の後輩でもある小瀧(望)さんが新しく入ってきたこともあって、現場の空気を柔らかくして、座長としてドラマ全体をさらに盛り上げようとしてくれているように思います。
――今、お話に出てきた路敏を演じる小瀧さんの第一印象は?
語弊があるかもしれませんが、俳優として一緒にお仕事をさせていただいている小瀧さんはまぶしすぎない。最初から「刑事7人」にとてもなじんでいました。普段の彼はアイドルなので、ライブなどでキラキラしていてとてもまぶしい存在なはずなんです。
でもそのまぶしすぎるアイドルのまま演技してしまうと、どうしても浮いてしまうのですが、彼はまったく浮くことがない。今回は刑事役ですが、今後、教師や普通の会社員を演じるとしても、彼は自分を出すことなく、あくまで演じている役として自分が作品の中で存在しているということをきちんと理解していますし、その役や作品にすっとなじむことができる。
作品の中の彼はアイドルの小瀧さんではなく、よりよい作品を作るために作品のために演技のできる一人の俳優なのだなと感じさせてくれました。
――そういった俳優としての部分を一番感じた小瀧さんのシーンはありますか?
一番というのはなく、「刑事7人」の全てのシーンにおいて、そのように感じました。きちんと路敏という役の気持ちでお芝居されていますし、感情の起伏の変化を分かりやすくするために、少し大げさに演技をしたりすることはあるのですが、それすらも路敏自身が醸し出すものに思わせてしまう自然な演技に感心しました。
――海老沢にとって路敏はどんな存在だと思いますか?
海老沢は路敏がかなり年下ということもあって、世代間のギャップを感じてもいないでしょうし、イラっともしていないと思います(笑)。海老沢は路敏のコスパ重視のやり方に対しても、モヤモヤしてもいないですし、むしろ路敏の個性だというふうに捉えています。
「路敏にとってそれ(コスパ重視のやり方)が当たり前なんだな」と思って、あまり深くは考えてはいないかなと(笑)。むしろ、行きたくないときは行かない、必要ないものは必要ないとズバズバと素直にいう路敏を、海老沢は面白いなと思っているんじゃないでしょうか。
誰かを気にして自分の気持ちにふたをしてまで「義務」のように強制的に何かに参加する時代から、自分の気持ちを大切にして「選択」ができるいい時代になったんだなという変化を路敏というキャラクターから感じました。
僕も20歳くらいの時、路敏みたいな感じだったんです。「何で飲み会に行かなきゃいけないんですか?」みたいな(笑)。そう思っていても言えない時ってあるじゃないですか、それでも路敏はきっぱりはっきり断れるんですよね。その素直な性格がすごく気持ちいいですし、うそがないので、僕自身も路敏はすごくいいキャラクターだなと思っています。