「あなたのせいではない。どうしても…そういう気持ちに…なれない」。口ごもりながら打ち明けた実朝。詳細な説明こそなかったが、世継ぎを残すことが課せられた鎌倉殿にとってその孤独はいかばかりだったろうか。別の場面で時房(瀬戸康史)が掛けた「いらっしゃいますか、心を開くことのできるお方が」の一言が妙に耳に残る。だからこそ、覚悟の告白を「ずっと、お一人で悩んでいらっしゃったのですね」と涙で受け止めた千世の思いには救われる。
破れて、砕けて、裂けて…
自分を頼る和田義盛(横田栄司)を国司に推挙したいと嬉しそうに政子に相談したり、和歌の指南で失敗してしまった三善康信(小林隆)をなぐさめたりと、心優しい実朝。第39回では、その唯一の心のよりどころと思われる存在にも触れられた。義時の長男・泰時(坂口健太郎)だ。
「自分などいてもいなくても同じ」と自信を無くす実朝を「そんなことはありません」と優しく励ました泰時は、実朝にとってどんな存在だったのか。「渡したいものがある」と手渡したのは、熱烈な恋の歌。「楽しみにしている」と泰時に返歌を求める表情は、恥じらっているようにすら見える。
その気持ちは“間違って”いるのだろうか。贈られた歌が恋の歌だと知った泰時が「鎌倉殿は、間違えておられます」と歌を辞退しにくると、実朝はただ切なくほほ笑み「…そうであった。間違えて渡してしまったようだ」と、別の歌を差し出した。
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