端島に映画プロデューサーがやってきて島民は浮き足立つ
そんな中、以前端島を舞台に製作された映画「燃ゆる孤島」の続編製作のため、プロデューサーの夏八木(渋川清彦)がやって来る。
活気に満ちた今の端島をフィルムに収めたいと熱く語る夏八木は、島民たちを対象に出演者オーディションを行うと宣言。皆が一気に浮き足立つ中、夏八木から声をかけられた朝子もまた、こっそり演技の練習を始める。オーディションで朝子は夏八木から演技を絶賛されて、島民も拍手喝采となる。
そんな折、朝子の弟に人の家からお金を盗んだと窃盗の疑惑が向けられる。島民たちが朝子の弟を責め立てるが、怪しい3人組の男たちの目撃情報が入る。3人組が捕まり、実は夏八木と彼らがグルになって犯行に及んだようで、夏八木は島から逃げてしまった。
出演料を稼ぐために映画に出ると豪語していた朝子はすっかり気落ちし、鉄平は朝子に中ノ島に咲く桜を見せて慰める。朝子は端島では見られない桜を見ながら「夢が叶うた」と言い、「私ね、映画スターになりたかったわけじゃなかとよ。ちょっとだけ食堂の朝子じゃない人になりたかった。そんだけ」と鉄平に話すのだった。
自分がいる世界の閉塞感を感じている朝子が、鉄平に本音を吐露する様子が切なく胸に迫った。X(旧Twitter)でも「自分の意思で打ち破ってみようと行動した朝子がすごくよかった」「『そんだけ』の笑顔の儚さと優しさと素直さがもう神様」「『食堂の朝子じゃない人になりたかった』で泣いた」「朝子ちゃーん」とコメントが寄せられ、トレンド入りを果たした。
◆構成・文=入江奈々
TCエンタテインメント
発売日: 2020/12/25