「僕らの映像の仕事にも近いなと感じるんです」
――河野さんを演じる中で工夫した点などはありますか?
たくさん資料を読ませていただいて、脚本も並行して読んでいく中でぱっと思い浮かぶようなことを書き出しました。
ガキ大将、風穴を開けていく男、おしゃれボーイ…。
色んなことを書き出して、自分の中にそれが入っていったような気がしましたね。
でもそれはあくまで客観的なことなので、そこから自分がいざ演じるとなった時に全てを気にするわけではないです。
現在、河野太郎さんを担当されている秘書の方や洋平さんの秘書だった方にもお会いしたのですが、その時に「当時の議員さんが2人だけ廊下ですれ違った時に風圧を感じる人がいた。一人は田中角栄さんで、もう一人は河野一郎さんだ」という逸話があったと聞いたんです。そのお話の後に「桐谷さんにも風圧ありますよ!」と気を使っていただいて…。
また、河野洋平さんは映画に出演されたことがあるんですよね。その時に「芝居をしていない自分がなぜ選ばれたのか?」と聞いたそうで、監督に「目力があった」と回答されたと。
それで「桐谷さん目力ありますもんね!」とまた気を使っていただきました(笑)。
――「いだてん―」の出演を通して、オリンピックについて新たな発見はありましたか?
発見だらけですよね。僕はそこまでオリンピックに詳しくなかったのですが、たくさんの男のロマンがあり、それを支える女性たちの力があり、こんなにも大変なことだったんだなと。
もし「いだてん―」に出ていなかったら、来年のオリンピックもサラッと、全然違う感じで見ていたかもしれませんね。
きっとこの時期なんてすごくバタバタしているんじゃないでしょうか?怒号が響いていたり、寝不足の人がいたり、今は携帯もあるから「いだてん―」の時代より忙しい可能性がありますよね(笑)。
スポーツマンたちがオリンピックでたくさんの人たちに“ドラマ”を見せる前に、もしくはオリンピックが開催される時に、すでに一仕事を終えて、自分自身の“ドラマ”が始まっていたり、終わったりしている、いわゆる裏方の人のことを知れるのはいいですよね。
そういった選手ではなく大会の運営の仕事は、僕らの映像の仕事にも近いなと感じるんです。5秒しか映っていないシーンだけど実は撮影がすごく大変だったり、その場面のために練習したにも関わらずカットされてしまったり…。それと同じような愛しさを感じますよね。
来年はこれまでと違った視点でオリンピックを見られるなと思いますし、今大変な人を思うと、僕も頑張ろうと思います!