吉沢亮「周りも変わった人ばかりで、栄一もどんどん振り回されます」
――新政府で働き始めた栄一の前に新たな登場人物が現れます。印象に残っている人物はいますか?
今までは、栄一が変わっていて、周りが栄一に振り回される感じだったのですが、明治に入ってからは、周りも変わった人ばかりで、栄一もどんどん振り回されます。
三野村(イッセー尾形)さんは、登場した瞬間から「何だこの人は!」と印象が強いですし、岩崎(中村芝翫)さんとの出会いは、なかなか強烈なのではないでしょうか。
栄一と岩崎さんは、目指しているものや、理想とする世界は一緒なのに、そのアプローチが全く違います。岩崎さんは、力を持っているものがどんどん前に進んでいくべきだっていうのに対し、栄一はみんなで進んでいくべきだという考えで、真っ向から対立している。そこが面白いですし、印象深い登場人物です。
――岩崎さんとの初対面のシーンは見どころの一つかと思います。演じられていかがでしたか?
中村芝翫さんとのお芝居は、威圧感と言いますか、歌舞伎役者さん特有の雰囲気や声の出し方、もう只者ではないというのがひしひしと伝わってきます。
あのシーンだけだと、栄一が押され気味かもしれません(笑)。力強い、野心を感じる、芝翫さんにしか岩崎は演じられないと思います。
――以前のインタビューで「青天を衝け」の撮影で刺激をたくさん受けていると話されていましたが、今も受けられていますか?
刺激はたくさん受けています。
話が進むにつれ、関わっていく人物が変化し、栄一自身も年齢が上がり、成長していくので、それに合わせて僕自身も成長しなきゃと思っています。クオリティが高いことが求められているなという印象です。
――明治時代となり、さまざまな変化があると思うのですが、どのようなときに一番感じますか?
せりふがとても難しいです(笑)。経済の話になると単語も難しく、分からないことも多くて。なかなか聞きなれない言葉が多いです。
あとは、服装や周りの家具、たたずまいがどんどん西洋風になり、現代の僕たちが見慣れているものに変わっていきます。
その時に、これまで時代劇のお芝居をしていたのに、急に現代っぽくなって、恥ずかしくなると言いますか…(笑)。時代劇と現代劇の塩梅も難しいです。
――今後の「青天を衝け」、栄一の見どころはどこでしょうか。
栄一も大人になりました。ただただ無邪気だった少年が、“こんな大人になっちまったか”というさみしさを、見てくださっている皆さんに感じていただけるのではないかと思っています。
喜作や他の人との関係性もそうですし、栄一はいろんな人たちから、たくさんのものを受け継いで、バトンをもらって、最後まで生き延びたからこそ、さまざまなことを成し遂げた人だと思います。
その栄一の生命力もですが、生き延びた人たちの寂しさ、残されていく者たちの哀愁みたいなものが、伝わればいいなと思います。