神木隆之介が主演を務める連続テレビ小説「らんまん」。第13週で前半が終了し、現在クライマックスに向けての物語が描かれている。祖母・タキ(松坂慶子)の死を乗り越え、寿恵子(浜辺美波)との結婚を経て、東京で植物学者としての道を進んでいる万太郎(神木)。今回は、同作にて制作統括を務める松川博敬氏にインタビューを実施し、前半の総括や制作の裏話、今後の見どころなどについて語ってもらった。
後半戦はさらに深い人間ドラマへ
――モデルとなった牧野富太郎さんの実際の生活は、この後なかなか厳しいものだったかと思います。“朝ドラ”として視聴者の方に気持ちよく見てもらいつつ、おとぎ話にはならないよう、加減が難しくなる局面かと思いますが、その点はどういった工夫をされていますか?
前半はとても明るいムードの中で、万太郎と寿恵子の恋愛が成就しました。
後半のアウトラインをお伝えすると、14週〜17週が万太郎の業績ラッシュに入ります。“新種”を発見し、子どもも生まれて家庭もハッピーな万太郎の一方で、要潤さん演じる田邊さんがどんどん落ちていって格差が開いていき、最後に東大を破門されるまでが描かれています。
しかし、モデルとなった富太郎さんも我々の万太郎さんも、東大を出入り禁止になってからが不幸の始まり。本当の悲劇が訪れます。
少し先に、万太郎・寿恵子にも、綾(佐久間由衣)・竹雄(志尊淳)にも容赦ないほど深く悲しい出来事が起こるのですが、そこは覚悟を持って役者も演出も取り組んでいるので、前半とはまた違うフェーズに入り、さらに深い人間ドラマになっていくと思っています。
深い悲しみから“再生”していく物語に
――第13週で竹雄は高知に残り、万太郎と離れる人生を選びました。視聴者の中では“竹雄ロス”が起こりかけていましたが、竹雄は再登場するということですね。
そうですね。竹雄も再登場し、峰屋が倒産して店を畳むところが描かれます。綾と竹雄のその悲しみと、万太郎・寿恵子の深い悲しみがちょうど同じ週に重なるので、作品上は一番しんどいところになるかと…。その後にまた“再生”していく物語が始まっていきます。