倉本聰とテレ朝がタッグ!シルバータイムドラマが誕生
テレビ朝日が、'17年の春から中高齢視聴者に向けた新しい帯ドラマ枠を創設することが分かった。第1弾は、倉本聰のオリジナルドラマ「やすらぎの郷」('17年春放送、2クール予定)を放送する。
夜のゴールデンタイムに若者向けのドラマが多く、大人の見るドラマが少ないということから、倉本がゴールデンタイム以外の放送枠で毎日放送する大人向けのドラマを企画。その企画提案を受け、同局が“シルバータイムドラマ枠”を設けることを決めた。
倉本は「ゴールデンタイムと呼ばれるものが、多くの若者たちのためにあるのなら、年配者や大人たちが安心し、かつ見やすい時間帯に、シルバータイムともいうべき彼らのためのドラマ枠があってしかるべきではないのか…。そんな思いから、構想を樹てました」とコメント。
物語の舞台は、テレビ人専用の老人ホーム。そこに集う、全盛期の映画、テレビ界を支えた俳優、作家、ミュージシャン、アーティストら、かつての大スター集団がノスタルジー漂う人間喜劇を届ける。
倉本は「暗い話には絶対にしたくない。明るいこと。しみじみとしていること。悲しいこと。そして、あくまで笑えること。『人生は、クローズアップで見ると悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇である』(チャールズ・チャップリン)。そんなドラマを創りたいと思います」と期待を込めた。
主演を務める石坂浩二は、倉本自身を投影したようなシナリオライター・菊村栄を演じる。
石坂は「今はどう演じよう…といったことよりも、倉本先生の書かれた脚本の面白さに引かれていて、この企画に参加できることを大変うれしく思っています。はじめてのカラーテレビ、はじめてのVTR…、テレビの歴史のいろいろな“はじめて”に参加してきましたが、こうやってまたテレビ朝日のはじめての挑戦に参加できることが本当にうれしいですね」と喜びを明かした。
そして、菊村を惑わすかつての大女優たちを演じるのは、浅丘ルリ子、有馬稲子、加賀まりこ、五月みどり、野際陽子、八千草薫ら豪華メンバー。さらに、菊村と共に彼女らに翻弄(ほんろう)される男性陣には、藤竜也、ミッキー・カーチス、山本圭らが集結する。
石坂は「(同世代の役者陣との共演は)懐かしいとかそういうことだけでなく、お互いに芝居ができる幸せを感じられたらいいな…と思っています」と語った。
本作は、菊村の視点でホームで起きる悲喜こもごもの出来事を紡いでいく。家族や財産(遺産)、過去への思い、恋や死への恐怖、芸術への心残りなどをテーマにし、タイトルとは裏腹に安らぐことのできない日々に翻弄される菊村をユーモラスに描きつつ、随所に倉本のテレビ界に対する提言やメッセージがちりばめられていく。
菊村(石坂)は、単身、海を望む山の斜面にひっそりと建つ「やすらぎの郷 La Strada」を訪れる。ここは、大手芸能プロダクション“加納グループ”の総帥・加納英吉がグループを解散後、私財を投じた無料の老人ホーム。全盛期の映画やテレビを真剣に支えた役者や監督らであることが、この会員になるための一つの資格である。加納本人は姿を見せず、加納の長女・名倉みどりとみどりの夫で元大学病院院長の名倉修平が仕切っていた。
菊村自身も一世を風靡(ふうび)したシナリオライターだった。菊村は、認知症の元女優の妻の介護に疲れ果てた時、みどりから突然の誘いを受ける。費用は無料で、万端の設備で迎え入れると言われ、菊村は入所を決意するが、その矢先、妻は亡くなってしまった。
その部屋で一人暮らすことを決めた菊村が「やすらぎの郷 La Strada」で見たのは、昔の全盛期のテレビの人たちだった。夢か幻を見ているような菊村に笑みを向けてきたのは往年の大女優、大俳優たち。こうして、菊村の新たな生活が始まる…というストーリー。
石坂は「頂いた脚本からは、倉本先生が今までどんな気持ちで…思いで…、仕事に向き合ってこられたか、本当によく感じることができます。そんな大切な思いを壊すことのないよう大切に演じていきたいと思います。われわれの世代はテレビの歴史でいろんな初めてを経験してきました。そんな仲間たちと芝居ができる…というのは、やはり醸し出す空気が自然といつもとは違うのだろうな…と楽しみに思っています」と明かした。
'17年春
テレビ朝日系で放送