独特な発想が光る義経
義経のようなぶっ飛んだ言動を、後白河法皇のように面白がる者もいる一方で、底知れぬ恐ろしさを感じる者も多い。義経勢が山中へと進み、断崖絶壁の鵯越(ひよどりごえ)に出たときのこと。義経は険しい鉢伏山の崖から、一ノ谷まで駆け降りるという危険な策を打ち出した。「多くの兵を無駄死にさせる」と反対する景時に、義経は「先に馬を行かせ、次は人だ」と山越えの決行を推す。景時がさらに「馬から下りること」を反対すると、義経は「戦に見栄えなど関わりない!」と一蹴。
義経の背中を見ながら景時は「何故、あの男にだけ思いつくことができるのか」と、戦の才能を認めざるを得なくなった。その後、山を越え、獅子奮迅の戦いをする義経を「八幡大菩薩の化身じゃ」とぼう然と見つめる景時・義時の姿が印象的だった。
「馬を背負ってでも」と豪語した重忠
また、歴史好きの視聴者は、義経の後を追って山を越えた重忠の「馬を背負ってでも下りて見せまする。末代までの語り草になりそうです」というセリフを喜んだ。現代でも埼玉県深谷市には、甲冑姿の畠山重忠が馬を背負っている珍しい銅像があるなど、この時代の伝説として有名なエピソード。「重忠さん、本当にずっと語られていますよ!」「重忠様このあともどうぞご無事で」などSNSでも盛り上がった。歴史エピソードを盛り込みながら、個性的な登場人物たちが生き生きと描かれる大河ドラマに皆、夢中のようである。
NHKエンタープライズ