敵意とはまた少し違う危ない存在という意識はあった
――小栗旬さん演じる義時は、実朝にとってどういう存在だと思いますか。
義時に対しては、敵意とはまた少し違う危ない存在という意識はあったと思います。実朝は、鎌倉殿になった時、自分が政を回していくことはできないと分かっていて、だからこそ、母の政子や義時に任せている。最初は信用していた部分もあると思いますが、回を追うごとに義時のやっていることと、自分が思い描いていることが乖離していっていると感じ、義時が持っているパワーを抑える、自分がそれを越える力を持って政をしていかないといけないという思いが芽生えていったのだと思います。
実朝は、力でねじ伏せたり、復讐したりする人間ではなく、日本という国を豊かにしていこうとする賢い人で、憎しみや悔しさなどネガティブな要素はありつつも、争いはしたくない、犠牲を出したくないと考えている人物だと思います。
非常に頼もしいですし、勉強にもなります
――座長・小栗旬さんの魅力を教えてください。
座長として長い期間やっていくのは大変だと思いますし、義時という役もかなり難しい役なので、普通は自分のことでいっぱいいっぱいになると思います。しかし、小栗さんはとても広い視野を持っていますし、スタッフやキャストの方たちに話しかけてくれます。大河ドラマの現場とは思えないくらい、アットホームな雰囲気で変な緊張が一切ない現場なので、とてもありがたいです。僕がクランクインした時にもマスクに「実朝ようこそ」と書いてくれていてとてもうれしかったです。みんなが幸せになるようなやり方をされるので非常に頼もしいですし、勉強にもなります。
――演じる中で小栗旬さんからアドバイスなどはありましたか。
やっぱり時代劇ですから現代とは異なりますし、所作が必要不可欠なので、基本的には監督や演出の指示に沿って演じています。その中で、(小栗さんは)僕の表情を見て察してくださって「言われたことは一回なしにして、思っているように演じてみなよ」というようなことを言ってくれました。小栗さんは役者が自ら考えて、プランを持って動くことで豊かな芝居になると分かってくれているので、それを周りの人たちに提案してくれるというのはとてもありがたかったです。