本当に良き兄ちゃんで、芝居バカなところも大好きです
――和田義盛は実朝の心のよりどころになっているのかなと思いますが、和田義盛を演じる横田栄司さんとのエピソードをお聞かせください。
栄司さんとは、舞台で何本か共演させていただきました。栄司さんも僕もお酒が好きで、コロナ禍になる前は稽古や本番の後によく飲みに行っていました。本当に良き兄ちゃんで、芝居バカなところも大好きですし、2人で大げんかしたこともあります(笑)。
実朝が義盛に惹かれる理由は、鎌倉殿として君臨しなければいけないけど、自分には力がないと悩んでいる時に、御家人の中でも純粋で、誰かを陥れようなどと考えていない義盛のピュアな部分に共鳴したのではないかなと思います。義盛といると楽しいとか落ち着くといった感覚があるのだと感じます。
実朝の素朴でピュアな性格と和歌がリンクしているなと
――実朝は和歌の人というイメージもありますが。
僕も和歌に関しては無知で、この役を演じるにあたり勉強をしたのですが、実朝は日常の風景や物、人を見て、世の中の状況などに結び付けるのが非常にうまいのだと感じました。実朝の素朴でピュアな性格と和歌がリンクしているなと思います。
――実朝のどんなところがすごいと感じますか?
鎌倉で力を持っている人たちは、自分たちの家や土地のことばかり考えていて、自分さえよければという感覚があると思います。それは、人間として当然のことなのかもしれないけど、実朝は後鳥羽上皇がいる京と手を組むことで、もっと世の中が良くなるのではないかと考えていて、自分や源氏のことは差し置いて、もっと先のことを考えていたのだと思います。自分たちのことしか考えていない人が多い時代の中で、実朝は日本や鎌倉のことを客観的に考えています。自分の立ち位置や自分の力の無さを謙虚に受け止めて、周りの力をしっかり借りていかないといけないと思っていた部分はすごいなと思います。